サンデー毎日、最初の朝──潮目の先に見えたもの
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退職して最初の週。
サンデー毎日が始まった記念に、今日は朝からサーフへ向かった。タイドグラフを確認すると、ちょうど満潮から干潮へと移る「下げ潮」。経験上、釣果が出やすい流れだ。
正直、現地に立ってみないと何が起こるかは分からない。それでも、胸の奥がふわっと浮き立っていた。
いつもの駐車場に着くと、車を降りた瞬間にむわっとした熱気が肌を包む。まだ朝の8時半なのにこの暑さ、今日もなかなか手強そうだ。
目線を海へやると、ずらりと並ぶしらす漁船の群れ。こんなに近くで、しかもこれだけの数を見るのは初めてかもしれない。
ベイトが豊富にいる証拠だ。となれば、青物が回ってきている可能性もある。潮の流れも肉眼で確認できるほどにはっきりしており、期待はさらに高まった。
ただ、現実は甘くない。
右肘を痛めてから2週間、重いものを持つことを避けていた。それに、ジムでも右手をかばいながらのトレーニングばかり。久しぶりに握るロッドが、想像以上に重く感じられた。
40gのルアーを付けてキャストしてみるが……飛ばない。まったく届かない。狙いの潮目までは程遠く、左右にもブレて、時には足元にポトリ。
「あれ……キャストって、どうやってたっけ?」
体が感覚を忘れてしまっている。悔しさがこみ上げた。
ジグサビキも用意していた。せめて小鯖一匹でもと思ったが、そもそもポイントに届かないので、仕掛けを変えても結果は変わらない。
途中からは割り切って、釣ることよりキャストの練習に集中。
「次こそは……」と何度も投げたが、思うようにはいかない。
どこが悪いのか分からない。分からないことが悔しい。でも、止まらない。
ふと見上げると、真っ青な夏空が広がっていた。陽は高く、気温もずいぶん上がっている。
気がつけば、2時間も経っていた。
夢中でロッドを振っていたせいか、時間の感覚が完全に飛んでいたようだ。これ以上は無理せず、今日はここまで。
ゼロ釣果。だけど、得るものがなかったわけではない。
もう一度キャストの基本からやり直そう。今の自分に必要なのは、焦らず、丁寧に、積み重ねること。
なにせ、サンデー毎日。時間だけはたっぷりあるのだから。
それにしても——浜辺の空気は、やっぱり気持ちがいい。
